再記載・人はどこでも何かの少数派に属するのかもしれない
皆様明けましておめでとうございます。しばらく指が使えず、まだ完全でないので、古い記事を再記載します。
自分もいつかは少数派になるときがある。
女性教員の敗訴について、日本のメディアで次のようなコメントを読んだ。
・・・・・・・職場での旧姓使用に関する東京地裁の判決は、既婚女性の7割が職場では
主に戸籍上の姓を使っているというアンケートの結果を根拠のひとつにしているようだが、
3割を少数派と切り捨てる裁判官の人権意識がおそろしいし、そもそも7割には「仕方なく」
戸籍性を用いている人も含まれているだろう。・・・・・・・・・
このような根拠が判決に影響するなんて考えられない。このコメントが日本と欧州、スイス国民
性の違いを良く伝えている。スイスでは国民の3割は小数派ではなく、重大な国民の意思表
示になる。第一与党の支持者だって30%にならない時だってある。だから国民の5%の意思
表示でも重大だ。
日本人の多くは、自分は身体障害者でもなく、夫婦別性希望者でもなく、人口透折患者でもなく、シングルマザーでもなく、貧困者に見られないように暮らしているし、有給休暇は取ることを遠慮しているし、2重国籍者でもない、つまり自分は社会に迷惑をかけない多数派に属している。少数者ではないない普通の社会人であると考えているのだろう。
常に多数派に属していれば問題ではなく、むしろそれに属することができないものは自業自得だと考えているようだ。少数派の要求は迷惑だ。このことは次のアンケートにも現れている。
最近のTBS「サンデーモーミング」世界各国で行われた「社会的弱者を国は救うべきだ」
の問いに、「救うべきだと思わない」と回答した国で最も多かったのは日本。英国 8%、ドイツ 7%、イタリア 7%、中国 9%、アメリカ 28%、日本 38%。だから東京地方裁判の結果には驚くことではない。のかもしれない。
現在の多数派の社会の慣習や常識はしかしすべて、あまり長くない過去に少数派の要求にから発展してきたものだといえるのではないか。私が日本を出た40年前には長髪の男性は肩身の狭い思いをしていた。しかし10年後に帰国したとき、女性の美容院で隣の男の子が金髪に髪の毛を染めていたのでびっくりしたものだ。そのように社会の傾向は常に流動的だ。
スイスでの常識は、他人の痛みや少数派の望みに耳を傾けることだ。それは、自分や
、家族知人の運命が突然変わり、日ごろ気がつかない少数派の不幸に陥るかもしれないという危機感を常に持っているからともいえる。
自分とはまったく共有しない意見でも、理解しようと努力する。3%の国民でもそんなに望むなら、彼らの権利や自由を認めてあげようとすることだ。自分が損するわけではない。
一番簡単な例は、スイス国民は「死ぬ時期を自分で決めたい人には平和的に
その権利をあげよう」とする「EXSIT、積極的自殺安楽死」の運動を認めたことである。スイス国民の半分以上がカトリックとプロテスタントのキリスト教徒だから、自分では自殺をしないと思っている。実際には、10万人にも満たない会員がいて、昨年800人に満たない少数の国民がこの法を利用した。
それほどの少数派の出来事であっても彼らの人権は守られた。
リオのパラオリンピックで活躍したベルギーの半身不随の女子選手の言葉、「ベルギーではいつでも死の時期を自分で決められるから毎日の痛みと戦っていける。自分の人生の完成度は自分で判断する」と言う事ができるのだと思う。
これはひとつの少数派尊重の例だが、すべての国民は何かの事情により他の少数派に落ち込むことを前提としているから、いまからお互いを支えあっていこうという感じで、主張をアピールしていく。
日本では「人口透折患者は殺せ」とかいったジャーナリストがいたようだが、なぜ日本はこのような患者が多く、医療費がかさむのかのか良く考えればよい。日本では腎臓生体移植の率が他の先進国に比べて異常に少ないからではないのか。根本的な対策は日本人の道徳観が許さない。しかし恒常患者になれば自業自得と責められる。
少数派の幸せに寛容を示せば自分の自由も許されるときが来る。金髪の男子が認容される時代だし、あらゆる少数派はそれぞれの人権を主張していけば日本は意外と早く成功を見るのではないか。
スイスのメディアで見聞きした "JAPAN" をお伝えします
by スイスで聞く「日本」
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