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The Economist 問題の海を「日中韓の共同海洋保護地区に!」

この一週間、尖閣島、竹島、日本、韓国、中国の反日、反韓国、反中国運動なの極端な部分が表にでてきたニュースがたくさんあった。それでブログを書く事がためらわれる記事もいくつか読み、時間がたってしまった。多くの記事がその根底にある日本植民地時代の根のようなものに触れていたが、日本人の多くは抵抗なしにそれを読めないかもしれないという、私個人の気持ちもあり、どうせ「高い目線からの海外人の意見」として読まれることもないかもしれないと思ったからだ。しかしこの目線の違いを紹介するのが私の初心だったのだからあえて書く事にする。

私は最近不精になり寝室に行かずに、テレビのある居間の仮ベットで寝ることが多くなり、朝リモコンでテレビをつけ、またウトウトするのが習慣になった。それは年金生活者の醍醐味といえる。(8時間差があるので、大きな日本の出来事はニュースになっているはずだからだ)。

その朝、「日本のナショナリスト、尖閣島に日の丸の旗を掲げる!」(尖閣島に日本人が泳ぎ着いたとき)というユーロニュースが飛び込んできて、そのアナウンサーの声はなにか戦争でも始まったような緊張感をよびおこし、ウトウトする楽しみはいっぺんに吹っ飛んで目が覚めてしまった。このニュースが30分ごとに半日間続けられたのだ。

後でいくつかのニュースでの表現の違いを知った。「ナショナリスト」「活動家」「右翼活動家」などあったが、ナショナリストは英語なのでその意味あいや使われ方はドイツ語として私のような素人でも4つほど浮かんでくる。

その後の中国での反日デモの映像は当然大きく報道された。

私の新聞には、「韓国が日本の首相所見文書を(開けずに、読まずに)日本に送り返す」という記事がでた。その記事の簡単な地図には、前にも書いたがDOKDO/TAKESHIMAとあった。この記事には、天皇謝罪を求める韓国大統領の言葉や、戦後の謝罪の事に触れていた。このような地図の名づけは、この記者の意向ではなく、新聞社の意向で決められるということを知人に聞いた。

他の新聞社は又それぞれの思考があるようだ。実効支配している国名を尊重する場合や、歴史を尊重する立場から、あるいは両国を挙げるところやいろいろだ。

「慰安婦問題」はこちらではすでにアメリカだけでなくEU議会でも、「世界人権機構」でも公に取り上げられているテーマだが、日本の知識人、政治家などは今になっても「言い出した・・・学者が悪いとか、取り上げた・・・新聞社が悪いとか、・・・・証拠を出せとか・・・・謝罪させろとか」もう10年以上もまえに議論し、応対すべきだった事を言い合っている。なんだかこれが日本の一流知識人、議員なのだなあと考えさせられる。

最近、JBpress(日本ビジネスプレス)のFinancial Timesの和訳で「日本と中国の「歴史問題」の遺産」8月24日と、 The Economistの和訳で「日中関係、不毛の島、不毛なナショナリズム」8月27日という興味深い記事を読んだ。リンクして良いのかどうかわからないのでしないが、ぜひ読んでください。

大体スイスの今までの記事も内容的には日中韓を語るときに必ず避けられない出来事に日本植民地時代のことがでてくる。結局、このイギリス2社の記事に立場としては似ていると思われる。

特に「不毛の島々を日中韓の共有海洋保護区に」という提案をしたエコノミストの記事はなるほど、いいアイディアだと私は思った。竹島も、尖閣諸島も不毛な島だから、喧嘩しながら、憎しみあいながら巨額の投資して開発してするよりも、共同で自然資源を守り、魚などの繁栄を促進して利益を分けるほうが良いのではないかという提案をしていた。

しかし、その記事を読んだ日本人のコメントしたの大多数が「イギリスには言われたくないとか、お前が何を言うか。自分こそフォークランドや旧英国植民地の悪を正せ、余計なお世話、歴史をもう一度勉強せよ、韓国、中国とはだめだ。」という感じだ。それはいいのだが、勘違いしている人がたくさんいる。

・・・「エコノミスト」はイギリスの伝統あるメディアだが、イギリスそのものではなく、ひとつの独立した個人の機関であるから、イギリスのそのときそのときの政府の判断してきたことと別問題だ。「エコノミスト社」に批判があるならそこにすればいいし、イギリス人が皆このエコノミストの意向と同じとはいえず、イギリスやイギリス人をひと絡めに批判したり、憎んだりするのはおかしい。

エコノミスト社が、もしかしたらフォークランド攻撃を批判していたかもしれないし、そうでないかもしれない。
よく言うではないか。「その行為を批判し、人を批判するな」「その個人を憎み、国家を憎むな」とか、こんな感じの言葉があったと思うが。

同じことがたくさんある。日本のU-20女子チームが、スイスチームに4対0で勝った。そのときスイス人チームの監督が「日本は素晴らしい、おめでとう」といったらしい。それを読んだ日本人のコメントにはたくさん「スイスは良い人ばかりだ。・・・国に比べ親切な礼儀ある国だ。さすが中立国だ。スイス大好き」とか読めた。

皆さん、気をつけてください。失望しないように言いますが、スイスにも皆さんの嫌いだとする・・・国のような人がいるかもしれないし、この監督が礼儀正しい人でも、だからってスイスがいい国だとはいえません。まったく違う次元の因果関係です。まあ個人的には、この場合、日本のサッカー技術の高さをたたえるのはスイス人監督として当然だと思いますが。

話し外れたが、このエコノミストの提案はひとつの提案であって、日本人に「そうせよ」といっているのではない。あるいは歴史の定義も間違いだと思うのなら自分で発信すればいい。

グローバルということは、いろいろな人の目の高さや、距離から見聞きすることを知り、知らせ、消化し、選り分け,栄養にすることになる。その相違を感情的にネガティブにとるのではなく、「なるほど」と楽しみに、あるいは皮肉に解釈すればよいのではないかと。それは私の長く海外で生きてきた大事な保身術のひとつだ。


チューリッヒ      F.S.

by swissnews | 2012-08-28 21:12 | 竹島・尖閣・日中韓の問題 | Comments(0)

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