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日本とスイスの少子化対策に思う一般的思考の違い

チューリッヒの保育園、児童施設について書いたばかりだが、ついでに根本的に違う子供を生む事に対するスイスと日本の意識の違いを知ってほしい。

「女性にモット子供を生んでもらおう」 「女性が安心して子供が産める日本に」「主婦がもっと家計を助けやすい対策を」・・・・・そのためには何をすればいいのか?と、頭をつき合わせて考え、議論している日本の知識人男性たち!・・・・このようなことがもし、スイスのメディアで報道されるとその不思議な思考や違和感からこれは皮肉な冗談だと思うだろう。

第一にこのような議論をする権威者が男が圧倒的に多いからだ。少子化問題と女性の社会進出女性の人権問題は切り離されない。数年前か、国際的シンポジュウムで女性問題について議論があったが、女性の専門家のレファラートの中に混じり只一人
男性が日本代表だった。この滑稽さが日本人にはわからないかもしれない。日本には素晴らしい女性学者がいてもこのような時には男性官僚が押し分けて出席してくる。

日本の女性に地位は現在世界の100位以下であり「日本の経済繁栄時期にも仲間はずれ、恩恵を受けられなかった一番の敗者は女性であった」という記事がWOZという新聞の特集にでたばかりで悲しく、腹が立つ。しかしそれは事実だ。他の発展途上国の発展していく過程で貧困や差別からのし上がっていく頼もしい女性がたくさん抜きんでている事実からして対照的だ。

第二に「もっと女性に子供を生んでもらおう」と言うタイトルの記事がGLOGOSにあった。この記事を書いた男性の内容や、それに対しての反論などはどうでもいい。しかしこのようなタイトルをつけることが、意識的か、無意識的か「何でも男の俺たちが決めよう。男の言う事を聞け」と言う態度がにじみ出ている。それがどんなに「どうか女性たち、モット子供を生んでください」と言う懇願であっても「女性よ!モット子供を生んでくれるように決めました」という命令的であってもだ。
そんなときだけ「もっと子供を生んでください」という日本人男性のわがままさ。しかし女性が沈黙すれば仕方がない。

スイス人の政治家や知識人が、もしこのような発言したら、特に女性は「それは女性が自分で決めること!私たちは子供を生む機械ではないよ!」という感じで軽蔑し、たちまち「ブー!」の反響にナルだろう。少子化が深刻だったロシアやイタリア、昔のフランスでも心の中ではモット女性が出産してくれれば言いと思っていても絶対にこのような表現はしない。女性の自立的思考判断能力を否定する古い男性として評判を落とす事になるからだ。それにこの問題は男性自身の問題に帰ってくるからだ。

第3にこちらでは、女性は「家計の足し」にではなく、「自分の職業」を追行し人格的にも経済的にも独立自活する為に社会にでて仕事をするのだ。

第4に日本の少子化問題はいつも「家庭の主婦」を援助して、家庭単位に考える対策が多い。このような対策は欧州では考えられない。独身で新生児をもつ女性が、例えばフランスではとっくに50%をでているし、ドイツや北欧ではやはりは40%ぐらい。スイスではわからないがやはりそのぐらいになるだろう。当たり前すぎてめったに話題にもならない。だから少子化対策はすべての女性対策(シングルの女性も)に他ならない。

(日本の場合ももし、どんな理由にせよ働きたいなら、女性自身が本当に主張していかないと希望はないと思う。男のせいとか、政治のせいかいっていられない。今、待機「保育園」の大きな問題になっているようだが、女性高校生や大学生もすぐ自分の問題になる。一緒に運動することが必要と思う。スイスもこうしてた戦い勝ち取った。)

スイスに「子供手当て」が出来てからどのぐらいになるか。私の子供が生まれたときはまだなかった。例えば、義理の姉夫婦は子供がなく、二人で160%の仕事をしていて、安いが別荘を持てた。長期休暇には世界のあちこちに行く。私の子供にとっては「親切で、何でも買ってくれる優しいおばさん」になる。彼らも代用親としての誇りがもてる。(勿論責任もないし勝手だと思わされたことが多かったが、大事な存在だった)

そのような子供のない人たちが、将来、私たちが育てた子供たちに老後を見てもらうことになる。それで、将来税金を払う次の年代を育てる親は、独身生活を謳歌する人より何か手当てがあっても当然だということになった。教育費はずっと無料だが、そんな事から「子供手当て」が出来た。最初はたしか5千円ぐらいから、息子が学生として最長の25歳までもらっていた最後の手当ては1万5千円ぐらいまでに上がった。

その国によっていろいろだが、スペインなどでは、出産したとき特別一時金を与えて奨励しているところもある。(今はわからない)外国人移住者を奨励し、その子孫に頼っている国もある。

こちらの人口形勢は複雑で、考え方もまちまちだ。一般にの伝統的ユダヤ、トルコ人、東欧人家族や、スイス人でも、農村、伝統的カトリック家族は子沢山といえる。しかし、子嫌いの夫婦もいるし、アフリカなどから養子を迎える夫婦もすごい数になる。15歳で母親になる女子もいるし、一生一人暮らしの人もいる。


スイスでは、難民、亡命者、労働者としてやってきた外国人が今はスイス人になっていると思うが、その子供たちが活躍する時代になっている。スポーツ・サッカー選手、タレント、芸術家にも多い。政治家もいる。それに、ハーフというスイス人?外国籍?はますます増えている。自分の子供がギムナジウム(中学、高校、短大)に通っていたとき、参観日がしょっちゅうあった。16人の生徒のうち、5人がベトナム、フィンランド、ギリシャ、ハンガリー、日本の片親を持っていた。親の顔はさまざまで見ているだけで面白かった。

移民を嫌う日本人が多いことが不思議だ。悪い事より、良い事のほうが多いと断言できる。多様で面白いし、それぞれ良いところを影響しあう。「いじめ」なんか少なくなるのでは。しかし懐疑的な純血主義の現在の日本では希望はない。それにもう時期を失っているとも思える。

因みに、トルコはEU連合に加入したがっているし、EUにとっても若い人口が圧倒的に多いトルコは魅力的だ。彼らがEUの発展を保障してくれるからだ。その点については皆賛成だが、今のところまだまだ他の問題があるらしい。

国の継続、将来を考える。これが現在のテーマだ。

関連記事・・・・・・・チューリッヒの少子化対策に考える
・・・・・こちら・・・・・

チューリッヒ  フミ

by swissnews | 2013-04-03 20:03 | 女性・ジェンダー | Comments(0)

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