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バイリンガル国スイスにおける外国語としての英語教育・1

しばらく大きな日本のニュースはなかったので、この際スイスの英語教育について一言。

皆さんもご存知だと思うが、スイスは、4つの違う母国語を有する文化の違う国民からなっている。

一番大きい文化圏はドイツ語圏で、(チューリッヒ、バーゼル、ベルンなど)次がフランス語文化圏(ジュネーブ、ロザンヌなど)次がイタリア語文化圏ティチーノ(ロカルノ、キアッソなど)である。最後が少数国民ロマン語圏(グラウブンデン州など)で、毎日30分ほどのロマニシャ語ニュースや子供番組がテレビで見られる。

しかしスイスは小さな国だし、同じ国民であるから両親が違う言語圏出身とか、国際結婚や移民外国人として日常2,3カ国を同時に話していく子供などまったく珍しくないのである。それも意図的に教育の一環として子供と接する親が多いからだ。

外国語教育のプログラムは州によって違うが、公立の学校に限って言うと、ドイツ語圏スイスでは大体第一必修外国語をフランス語として小学校4,5年生から取り入れている。それは同じ国の国語フランス語を尊重している当然の事だ。しかしフランス語圏では、最近第一外国語をドイツ語より英語を優先しようという(ドイツ語圏国民からして侮辱されたと感じさせられる)運動さえある。

私の知ってるチューリッヒ市のことだけに限れば、第二外国語はそれぞれの学校で違う。大学入学資格が取れるギムナジウム卒(平均して20%の生徒)ラテン語が必修で(現代は一般人の話し言葉ではなくなっているが語学の基礎。)、その後、第三外国語として15、16歳頃から、将来哲学、宗教、医学を学びたい人は伝統的にギリシャ語をとる(だんだん少なくなる傾向で、ギリシャ語なしでも医学は学べるようになったらしい)。それをしない生徒は、近代外国語として英語とか、イタリア語を選択できる。経済、自然科学を勉強したい人は、英語は必修で独学するつもりで海外や、特殊学校で学び補修する。だから大学生は最低4カ国を勉強してきた事になる。そのうち3ヶ国語が話せればいい。修士以上になる。

また、商業、小中教員、芸術など職業専門大学などの高校からの各種大学入試資格(だいたい20%の生徒)は英語が必修になっているようだ。学士以上になる。(結局、国の大体40%の子供が日本で言う大学に通う)その他、個人の言語学校がたくさんある。

他の60%の生徒は中学、高校の後、職業専門学校に3から5年ぐらい、徹底して教育される。英語は必修になってる職業教育もある。

しかし小さいときから、映画、ニュースなど英語が目に入り、耳に入っているので現代のスイス人は大人も子供も大抵英語の日常会話はできる。それでなければ「かっこよくない」という感じになるからだ。

こちらの子供は小学校に入る頃、広告看板、新聞見出しアルファベートを読めるようになるようだが、毎日聞き慣れているドイツ語のほかに、変な知らない言葉に出会う。

息子が小さな声で聞いた。「ママ、ギルルというのはどんな意味?」彼の巻き舌のRは私なんかより完璧だ。「こんな風に書いてる!」といって一生懸命書いたと思われる「Girl」を見せてくれる。

「どれどれ見せてごらん。何だ、これは英語で、ガールというんだ。女の子の事だよ!」といって私は少しからかう。

「ガール!やっぱり、Mädchenメートシェンのことか」と、赤い顔して走っていった。(息子はガールという意味は聞いて知っていたが、どのように書くのか知らなかったのだ。でもその時どうしても知りたかったんだなあと後で考えた。)

しかし実際に恥をかくのは私のほうが多い。友達に「ペウゴット」という自転車を買ったよ」と報告する。5,6秒沈黙の後「それはフランス製?」「そうだよ。なんか有名な自動車の会社らいい」「わかった。それは、ブジョーと発音するんだよ」

こちらの人は小さいときから、耳も、目も開けていてなるべく恥をかかないように知っていくし、すくなくとも何語で話しているかは区別できるようになるようだ。

EU連合で英国以外の国は皆違う母国語をはなす。しかし、EU国会の時は皆英語だ。英語なしにはヨーロッパ人ではなくなる。

私のように日本で古い英語教育を受けた日本人はもう大変で諦めているが、ドイツ語を勉強すると、不思議な事に英語もなるほどとわかることもある。スイスに住んでいる日本人は、頑固に英語だけで通す人もいるが、それぞれ大抵地元のドイツ語かフランス語かイタリア語で生活しているはずだ。その他に方言の問題もある。

それだけではない。日本人を片親にもつ子供たちは日本語もかなり読み書きが出来る。日本語補修学校で勉強し、日本人親とは日本語で話す。4,5カ国こなせるハーフは珍しくない。

日本人の問題はアルファベートコンプレックスというのかなんでもカタカナにする。30年も前か日本の友達が懐かしい手紙をくれた。「フミさん、嬉しいわ。主人の自転車部品の仕事で、イタリアのバルマデレラとか言う町に行く事になったのよ。小さなところらしいけど、湖のそばで、スイスの国境のすぐちかくにあるというの。ぜひたずねてきてね」というのだ。

こちらにはカタカナの地図などあるわけはない。バル・・・という町は、Bか、Wか、Vではじまるのかわからないし、日本人の訳したものではRかLかわからない。スイスの国境にはいくつも湖がある。(コンピュータもなかった)どうしてわざわざカタカナにするのか。そのときはバカ!と残念で泣きたくなった。(手紙をやり取りしてる時間がなくて結局会えなかった)

横書き記事のすくなくとも半分の名詞だけでもオリジナルのアルファベートで書く習慣をつければ、中学の終わりまで500の英語名詞は、目で見てすぐわかるようになり、暗記する必要もなくなるはずだ。


girl, boy, nation, convarsation, situation, speed, table, など日常の言葉をオリジナルで書きいつも目にしていることだ。20回もみればなんとなく頭に残る。そのうちに動詞の加える。get, set, take outとか。カタカナで書けば目で見る子供の英語教育の場をわざわざ排除していくことになる。

又大人の記事で、なぜ、コンセンサスなどとカタカナで書くのか。この意味がわかる者はどっちみちconsensusという英語のスペルがわかる人なんだから。

それに何度も書くが、英語のニュースや、映画を見ること、日記を書くことだ。

・・・・・続き・2・・・・・・・・・・・・

チューリッヒ   フミ

by swissnews | 2013-04-18 20:17 | 教育・宗教・人材 | Comments(0)

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