スイスの教育経験4・外国語教育の始まり
こちらの小学校のクラス担任は2人いることが都会では慣習になっている。仕事の分担はそれぞれ違うが、基本的には半分づつと聞く。女性が仕事をシェアしあい、出産、育児もバランスを取り合え、チーム教育が大事とされるからだ。
子供が確か小学校4年生になった時、一人の先生が産休になり、新しい担任が着任した。その紹介もあり父兄参観日があった。
教室に入るなりその先生がフランス語で、短く生徒と我々父兄に挨拶したが、理解できなかった大人も生徒もびっくりで、きょとんとしていた。しかし、「父兄歓迎」という感じは受け取れた。
先生が「ボンジュール。ジュ・スイ・マダム・・・今日は、私はミセスH・・」とか繰り返し言う。アルジェリア系の子供が促された。彼は先生が何を要求しているのか分かり、「ジュ・スイ・G・・僕はGです」と他のクラスメートに向かって言った。そしてクラス全員が自己紹介するようになった。きまり悪そうにしたり、胸を張ったり、それぞれだった。
恐れていたように、父兄も皆自分の名前をいう羽目になった。私はまったく冷や汗をかきながら息子の恥にならないようににこやかを繕いフランス語?で自分の名を言う。クロアチア人のお父さんなど、自分の娘が困ったような顔して父親の顔じっと見つめているので、やっぱり照れてながらでも言う。
このような特別の参観日は、もう一人の先生も父兄に間に入り込み一人ひとりやっぱりフランス語で挨拶し、先生のチームワークが効果的になる。親の代わりにやってきた移民のおばあちゃんは、絶対口を開こうとしなかったので、その先生はすぐ彼女に変わって紹介し、その後フランス語がわかる人だけ拍手した。きっと出身国や、おばあさんがよくいらっしゃいましたということだったかもしれない。
すべての父兄が、近くにいる2,3人向かい合い、「こんにちは。私はOOです。貴方はXXです。」と握手する。北アフリカ人、東欧人、私のようなアジア人もいる。スイス人の親は当然だがフランス語が出来、私のようなものには丁寧に教えてくれるように身振りも入れゆっくり話してくれた。発音なんかはじめ大事でない。
フランス語を知らないことは、恥でもなんでもない。こちらでは何でも知ってる人が知らない人に教える。
こうして、父兄だけでなく、生徒自身もまったく予期もしていなかったフランス語授業に出くわした。ドイツ語一言なしでも、「こんにちは、私は、貴方は、これは机です。あれは大きな窓です。ドア、いす、さようならなど」耳で理解できるようになった。スイス人の親は、先生の言った言葉を、生徒と一緒に大きな声で発音し、子供を元気付けているようだった。私の声も少しづつ大きくなった。
最後に、画用紙に大きく書かれた「アルファベート・スペルの短い文章を」を、生徒が見当をつけてその場所や、物に貼り付けに行く。間違った子供も沢山いた。
スペルと発音はドイツ語とかなり違う。とにかく「発音と目で見る字を「見当をつけ、推定するる能力」が大事になる。このことは将来、他の国へ行き、知らない言葉を聞いたり、読む字の意味なんとなく「見当がつく」感のよさが養われるようだ。どこか似ている要素を発見できるからだ。言葉の長さとかだ。
このように、フランス語の授業は100%フランス語しか使われなかった。子供達はだから、その後習うことになる英語などのすべての外国語の授業はその国の言葉で行われることが当たり前になると覚悟する。ラテン語だけは、現在会話語ではないので、母国語の援助があったと後で聞いた。
どうしても、フランス語に質問があったら、それもフランス語でしなくてはならない。わずかな単語を並べて必死にするらしい。息子は不精で、急にアルジュリア系の子供と親しくなり聞きだしていたようだ。
このフランス語の授業は、もちろんその先生が、かなり早口のフランス語で父兄に挨拶して終わった。まあ半分の父兄は理解できなくても、それはそれでいいのだ。要するに「これからよろしく。ありがとうございました。」ということだ。全部分からなくてもこれが、日常のことで、不公平とは思わなくなる。
一番最後に、もう一人の先生が前に来て、ドイツ語で挨拶し,この新しい先生が、産休から帰ってくる同僚の代わりに、これからフランス語と、理科と図工を担当することを知らせてくれた。
スイス人の親は、大きな声で「オールウォアール」「さようならと言うので、私も他の父兄同士も、皆、フランス語でさようならと言ってきた。
スイスの公立の学校は、全日制でなく給食がなく、父兄のPTAもない。その理由については、次に書きたい。
チューリッヒ フミ
子供が確か小学校4年生になった時、一人の先生が産休になり、新しい担任が着任した。その紹介もあり父兄参観日があった。
教室に入るなりその先生がフランス語で、短く生徒と我々父兄に挨拶したが、理解できなかった大人も生徒もびっくりで、きょとんとしていた。しかし、「父兄歓迎」という感じは受け取れた。
先生が「ボンジュール。ジュ・スイ・マダム・・・今日は、私はミセスH・・」とか繰り返し言う。アルジェリア系の子供が促された。彼は先生が何を要求しているのか分かり、「ジュ・スイ・G・・僕はGです」と他のクラスメートに向かって言った。そしてクラス全員が自己紹介するようになった。きまり悪そうにしたり、胸を張ったり、それぞれだった。
恐れていたように、父兄も皆自分の名前をいう羽目になった。私はまったく冷や汗をかきながら息子の恥にならないようににこやかを繕いフランス語?で自分の名を言う。クロアチア人のお父さんなど、自分の娘が困ったような顔して父親の顔じっと見つめているので、やっぱり照れてながらでも言う。
このような特別の参観日は、もう一人の先生も父兄に間に入り込み一人ひとりやっぱりフランス語で挨拶し、先生のチームワークが効果的になる。親の代わりにやってきた移民のおばあちゃんは、絶対口を開こうとしなかったので、その先生はすぐ彼女に変わって紹介し、その後フランス語がわかる人だけ拍手した。きっと出身国や、おばあさんがよくいらっしゃいましたということだったかもしれない。
すべての父兄が、近くにいる2,3人向かい合い、「こんにちは。私はOOです。貴方はXXです。」と握手する。北アフリカ人、東欧人、私のようなアジア人もいる。スイス人の親は当然だがフランス語が出来、私のようなものには丁寧に教えてくれるように身振りも入れゆっくり話してくれた。発音なんかはじめ大事でない。
フランス語を知らないことは、恥でもなんでもない。こちらでは何でも知ってる人が知らない人に教える。
こうして、父兄だけでなく、生徒自身もまったく予期もしていなかったフランス語授業に出くわした。ドイツ語一言なしでも、「こんにちは、私は、貴方は、これは机です。あれは大きな窓です。ドア、いす、さようならなど」耳で理解できるようになった。スイス人の親は、先生の言った言葉を、生徒と一緒に大きな声で発音し、子供を元気付けているようだった。私の声も少しづつ大きくなった。
最後に、画用紙に大きく書かれた「アルファベート・スペルの短い文章を」を、生徒が見当をつけてその場所や、物に貼り付けに行く。間違った子供も沢山いた。
スペルと発音はドイツ語とかなり違う。とにかく「発音と目で見る字を「見当をつけ、推定するる能力」が大事になる。このことは将来、他の国へ行き、知らない言葉を聞いたり、読む字の意味なんとなく「見当がつく」感のよさが養われるようだ。どこか似ている要素を発見できるからだ。言葉の長さとかだ。
このように、フランス語の授業は100%フランス語しか使われなかった。子供達はだから、その後習うことになる英語などのすべての外国語の授業はその国の言葉で行われることが当たり前になると覚悟する。ラテン語だけは、現在会話語ではないので、母国語の援助があったと後で聞いた。
どうしても、フランス語に質問があったら、それもフランス語でしなくてはならない。わずかな単語を並べて必死にするらしい。息子は不精で、急にアルジュリア系の子供と親しくなり聞きだしていたようだ。
このフランス語の授業は、もちろんその先生が、かなり早口のフランス語で父兄に挨拶して終わった。まあ半分の父兄は理解できなくても、それはそれでいいのだ。要するに「これからよろしく。ありがとうございました。」ということだ。全部分からなくてもこれが、日常のことで、不公平とは思わなくなる。
一番最後に、もう一人の先生が前に来て、ドイツ語で挨拶し,この新しい先生が、産休から帰ってくる同僚の代わりに、これからフランス語と、理科と図工を担当することを知らせてくれた。
スイス人の親は、大きな声で「オールウォアール」「さようならと言うので、私も他の父兄同士も、皆、フランス語でさようならと言ってきた。
スイスの公立の学校は、全日制でなく給食がなく、父兄のPTAもない。その理由については、次に書きたい。
チューリッヒ フミ
by swissnews
| 2013-08-02 21:12
| 教育・宗教・人材
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