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仏国際漫画祭と「慰安婦・・」テーマ

昨日のテレビユースで、今年41回目になるアングレーム国際漫画祭の様子が報道された。

主なテーマは、100年前の、第一次世界大戦をテーマにした、アニメや漫画であり、その戦争の意儀と、あまりにも悲惨で無意味な多数の死者のことが、さまざまな作品になっていたようだ。

例えば、フランスの街で、母や妻、親、子供に別れをするが、隣の村にちょっとけんかをして帰ってくるような楽観さで、すし詰めの汽車に乗る若者を送り出す。お祭り雰囲気。ドイツの街でもまったく同じ。フランスをやっつけてすぐ帰ってくるという感じだ。

そしてその結果。特に、エルザス地帯では、両国の兵が、お互いに聞こえるほどの近さで向き合い、殺しあう場になる。武器も、大砲も、大きくなり進歩し、ますます人を殺していく。

・・・・・エルザス地方のWW1の墓地を見たことがあるが、白い十字架のが延々と見渡す限り続いている。こんなに平和な素晴らしい景色なのに(風は強いが)なにか夢を見ているような気になる。(900から1500万人の死者といわれる)・・・・・

ニュースでは、この漫画祭りのWW1についてしか触れなかったが、漫画やアニメの持つ強力な視覚的インパクトは、短いニュースの中だけでも大きいものがあった。

**************

さて、日本のメディアが取り上げている「慰安婦テーマの日本作品で撤去されたものがある」問題は、日本の国民が知らなければならない基本的なものだと思った。

国際的に通用する現在の見解は、国連人権委員会での「クマラスワミ報告」と、その後の1998の「マクドーガル見解」であり、そこでこの「慰安婦・・・・」と言う名称も決まったようだ。世界中の主要国や団体が署名している。それに現在、アメリカ議会では、「従軍慰安婦」について日本に対する
いろいろな規約のようなものが通過しているようだ。

現在、これが世界に通ずるもので、基準になる。それ以外は雑音でしかない。雑音でなくするためには、現在ある「世界的見解」を覆させる新しい事実が必要になる。あるいは事実とされていた事を否定する根拠のようなものが必要なのだと読んだ。

日本はいろいろ「慰安婦は、あった・なかった」とか、証言は嘘だったとか議論してるが、それは国内だけのことで、国際的にはまったく意味をもたない。日本人はこれを覆す証言や、証拠を国際的に説明していく力がなかったのが,しなかったのか、そんな事は知らない。しかし、今頃、国内だけで議論するのが国際的にどれほどの意味を持つのか。

それに、日本政府が「謝罪をしてきた」といっているではないか。と言うことは、「慰安婦はあった。だから謝罪してきた。」と認めている。

今は、その謝罪金が正しくどのような名の元で、国際的に納得する形で支払われたかと言う問題にしかならない。昨年の国連人権委員会で、「補償は十分ではない」と言い渡されたではないか。(権限なくても_)

「女性基金」は、本来、個人、団体が立ち上げたものと聞いている。日本政府が、さも自分たちがしてきたというのはなにか卑怯だと思う。

「慰安婦はそのそもなかった」と言う、テーマの日本アニメが撤去されるのは当たり前だ。これは国際的見解に反するものだ。「ナチスのガス釜がなかった」と今更叫ぶ事と同じだ。だから右翼と見られるのは当たり前。日本政府の見解とも相反する。

このフランスの企画団体の処置は、多分、欧州であれば、どこでも同じように対応するのではないかと思われる。

韓国の立場は国際的に見て、又違う。彼らは、もっと正しい謝罪と補償をといっているのだ。このアニメ祭りでは、そのような政治的背景や、計算があっても、女性に対する暴力をテーマを表向きにしていて、世界的普遍的問題と解釈されたと聞いた。

私の周りにいるスイス人は、単なる「謝罪・補償の見解の違い」なら日本はもっと隣国に聞く耳を持つべきと言う。

いずれにせよ、問題がここまで大きくなったら、日本政府は、今までの謝罪が十分だった事を世界に大きく説明し納得してもらわなければならなくなっている。不足してるなら補う事だ。

それをしないで、逆の流れになってきているようだ。

日本人議員が、アメリカのOO市の「韓国慰安婦像」反対に、説明しに行って「慰安婦はなかった。誤解だ。だから像を撤去すべきだ」と、訴えたらしい。市長さんは「南京事件を勉強したか」と日本の議員に聞いたらしい。「教科書で勉強した」と答えたと読んだ。(日本の教科書だけの知識で、国際舞台に抗議に行くのはあまりにも弱いと私は思う)


日本政府や知識人は、国際的に、決められた見解をあまり国民に伝えていないようだ。誰でもPCで読めるのに。私もこちらに来ていつも無知を指摘された。

異議のあるひとは、国際的に訴えるしかない。

欧州の多くの国は、世界大戦の分析をし、二度と戦争がないように、議論がぶり返されないように、さまざまなタブーを決めた。そのひとつに「ガス釜がなかったと発言した人は逮捕される」がある。

日本は戦争の自己分析反省が国民に徹底してなかったようだと一般に言われている。

日本のアニメや漫画で、このような国際ルールを知らず、ただ「慰安婦はなかった」と叫んでもだから何もならない。言論の自由も限界がある。

このようなテーマに拘ることは、むしろ、日本の今までのアニメ・漫画の名誉を汚すものになる。残念!

日本のアニメクリエーターは自分たちの素晴らしい創造性やノウハウをもっと建設的に使ってほしい。

選りによって才能豊かな日本や韓国の若者のあまりにも無駄な時間とエネルギー消耗は、世界てきに損失と考えるのは、私だけではない。




fm






by swissnews | 2014-02-01 17:28 | 映画・建築・芸術・エンタメ | Comments(0)

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